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『ハイ有難うございます。是非是非(ぜひぜひ)お世話にあづかりたうございます。時にスバツフオード様、イスラエル民族たる猶太人(ユダヤじん)も三千年の艱苦(かんく)を忍びてやうやく故国(ここく)を取り還しましたねー。時節の力といふものは実に恐ろしいものですなア』『ハイ有難う。私等(わたしら)もやつぱりイスラエル民族でございますが、やうやくにして自分の公然たる国が小さいながら立つやうになりました。世界の三大強国がいづれも必死の勢(いきほ)ひでこのパレスチナを手に入れやうとして、つひには御承知の世界戦争までおつ初(ぱじ)めたのですもの。それが放浪の民たる吾々民族のものに還(かへ)つて来たといふのは全(まつた)く天祐(てんゆう)と申すより外(ほか)はありませぬ。要するにメシヤ再臨の準備として、神様が吾々に国を持たして下さつたのだと思ひます』『地球の中心すなはちシオンの国ですから、独英米(どくえいべい)なぞの強国は欲(ほ)しがるのも無理はありますまい』『独逸(ドイツ)の造つたバクダツト鉄道や、英国の拵(こしら)へたアフリカ鉄道、アメリカが拵(こしら)へかけてゐるサイベリヤ経由の大鉄道も皆このパレスチナを目標としてゐるのですが、かうなる以上はこれらの大鉄道もまた、イスラエル民族たる吾々のために利用さるることとなつてしまひました。この鉄道さへ利用すればユダヤ民族が世界を統一し得ることは明白な事実であります。しかし今日(こんにち)の猶太人(ユダヤじん)は物質慾が強きため、肝心の神様を忘れてゐる者が多いので困ります。人間の知恵や力量では九分九厘(くぶくりん)までは何事でも成功いたしますが、最後の艮(とど)めはどうしても神様の力でなくてはなりませぬ、それゆゑ吾々は大神(おほかみ)の表現神(へうげんしん)たるメシヤの再臨を待つてゐるのでございます。昔パレスチナが神の選民と称へられたイスラエル人の手に与へられた当時は、蜜滴(みつしたた)り乳流(ちちなが)るると言はるるカナンの国で、サフラン薫(くん)じ橄欖匂(かんらんにほ)ふ聖場(せいぢやう)と詩人に謳(うた)はれた麗(うるは)しい景色の好(よ)い所でありましたが、今日(こんにち)となつてはその面影もなく荒れ果ててしまつたのですが、そのパレスチナが再びユダヤ人の手に戻(もど)つて、昔の橄欖山(かんらんざん)の美しい景色がだんだんと出て来るやうになつて来ました。天に坐(ま)します神様はメシヤの再臨に先だち、パレスチナを御自分の選(えら)みたまひましたところのユダヤ人にお任(まか)せにならむが為(ため)に、数千年前からこの美はしい使命(しめい)を与へて選民たるの資格を備へしめむとして、四十年間(しじふねんかん)三百万の人間を苦しめ給ふたのです。三百万の者が飲むに水無く、食ふに食物(しよくもつ)の出来ない所で、あるひは親が死に子が死に、何代も続いて四十年間(しじふねんかん)苦行を嘗(な)めさせ玉ふたのも、イスラエル帝国の国民性を養はむがための御経綸(ごけいりん)であつたのだと考へらるるのです』『猶太人(ユダヤじん)はキリストを殺したために、他民族から排斥され、種々の困難を嘗(な)めて来たのではありますまいか。さうすれば若(も)しも有力なる猶太人(ユダヤじん)が現はれて世界を統一した時において、凡(すべ)ての異教国の人民に対して復仇的態度(ふくきうてきたいど)に出(い)づるやうなことはありますまいかなア』『多くの同胞(どうはう)の中には左様な考へを持つてゐる者があるかも知れませぬが、イスラエル人は比較的善良な民族ですから、一時(いちじ)はたとへ過激な行動に出づるやも知れませぬが、何といつても神に従ふ心が深いのですから、誠のメシヤが判(わか)りて来ましたら、きつと其(そ)の命(めい)に従ふものだと吾々は国民性の上から判断をいたしまして、メシヤの再臨を待ち望んでをるのでございます。そして猶太人(ユダヤじん)は世界を統一してシオン帝国を建設する事があつても、自ら帝王に成らうなぞとは夢想だもしてをりませぬ。ただ聖書(せいしよ)の予言を確信し、メシヤは東の空より雲に乗りて降臨すべきもの、また吾等(われら)の永遠に奉仕すべき帝王は日出(ひので)の嶋(しま)より現はれ玉ふべきものたることを確信してをりますよ。イスラエル民族はこの信仰の下(もと)に、数千年間の艱苦(かんく)や迫害を忍んで来たのですからなア』霊界物語 第64巻上 第4章 訪問客
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