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広大なる地域を有する蒙古に一大王国を建設するという計画は、事の成否(せいひ)は別として、日本男子としては実に壮快極(きは)まる試みだ、宗教家だといつて神前(しんぜん)に拍手(はくしゆ)し祝詞(のりと)のみを上げてゐるが芸でもあるまい。万有愛(ばんいうあい)の主義から是非(ぜひ)決行して見よう。心境(しんきやう)を一変し、宗教的に世界の統一を図(はか)り地上に天国を建設する準備として先づ新王国を作り、東亜(とうあ)の聯盟(れんめい)を計(はか)るのが順序だらう。ああ思へば実に壮快だ。腕が鳴り血が踊るやうだ。言語学の上から見ても、古事記(こじき)の本文から見ても、蒙古は東亜(とうあ)の根元地であり、経綸地(けいりんち)である。日本人は昔から、義勇(ぎゆう)の民(たみ)が開国以来未(いま)だ一寸(いつすん)の地も外敵に侵(をか)されないと言つて自慢(じまん)してゐるものがあるが、しかし吾々の祖先は蒙古軍のために拭(ぬぐ)ふべからざる大国辱(だいこくじよく)を受けてゐるのだ。元寇(げんこう)の役(えき)はどうだつた。国内上下挙(こぞ)つて蒙古襲来の声に震駭(しんがい)し恐怖し、その度(ど)を失ひ、畏多(おそれおほ)くも亀山上皇(かめやまじやうくわう)は身をもつて国難に当らむことを岩清水八幡(いはしみづはちまん)に祈願し給ふた結果、全国の各大社(かくたいしや)には奇瑞(きずゐ)続出して遂(つひ)に伊勢(いせ)の神風(かみかぜ)となり、蒙古は十万の軍を西海(せいかい)の浪に沈めた事は元明史略(げんみんしりやく)其(そ)の他の史実にも明記され、生命(せいめい)を全(まつた)ふして帰り得(え)たるもの僅(わづ)かに三人といふことだ。しかしながら我国は是(これ)をもつて日本男子の武勇を誇(ほこ)ることは出来まい。日本を守りたまふ神明(しんめい)の加護と、畏多(おそれおほ)くも亀山上皇(かめやまじやうくわう)の宸襟(しんきん)を悩まされたその結果である。霊界物語 入蒙記 第5章 心の奥
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