| 『鮒(ふな)や諸子(もろこ)は止めても止まる | 止めて止まらぬ鯉(こひ)の道(みち) |
| どつこいしよ、どつこいしよ | 鯉(こひ)に上下(じやうげ)の隔(へだ)てはなかろ |
| 隔てがあれば鯉ならず | たれも好くのは色の鱶鮫(ふかさめ) |
| 腰(こし)は鮒々(ふなふな)女(をんな)の刺身(さしみ)で | えひ鮒(ぶな)とようがり嬉(うれ)しがり |
| れこの赤貝(あかがひ)に夜昼蛤(よるひるはまぐり) | この世(よ)のせと貝(がひ)は鰆々(さはらさはら) |
| さらさらかますで | 穴子(あなご)にうちこみ |
| 他神(たしん)に意見(いけん)を鰯(いわし)ておいて | 鯔(いな)ともいかなごともさつぱり |
| 飯蛸(いひだこ)やなまくら海鼠(なまこ)に | ちやらくら口(くち)さいら |
| 口(くち)にまかして鰤々(ぶりぶり)怒(おこ)るな | 目白(めじろ)もむかずに |
| つばすを呑(の)み込(こ)み | 鯉(こひ)のためならいかなごの |
| 辛抱(しんぼう)も寿留女(するめ)がやくだよ | 赤□(あかえひ)年(とし)でもない身(み)でゐながら |
| かざみに理屈(りくつ)は鼈(すつぽん)の | 間(ま)には鮎(あゆ)ない屁理屈(へりくつ)よ |
| 鰐(わに)が悪(わる)けりや | 尼鯛(あまだひ)鱒(ます)から蟹(かに)して下(くだ)さい |
| 黄頴(ぎぎ)しいらねば泥溝貝(どぶがひ)なとしたがよい | お前(まへ)に油女(あぶらめ)頭(あたま)の数(かず)の子(こ) |
| 探(さが)そとままだよ | 一度死(いちどし)んだら二度(にど)とは死(し)なない |
| 一(いつ)そう茅渟鯛(ちぬだひ) | 小鮒(こふな)浮世(うきよ)に生蝦(なまえび)したとて |
| 針魚(さより)がないから命(いのち)は鰆(さはら)に | 惜(を)しみはせないよ |
| 黄螺(ばいにし)、黄螺(ばいにし) | 白魚(しらうを)もやして海豚(いるか)より鱒(ます)だが |
| 塩魚(しほうを)ぐしには戸(と)が立(た)てられない | 乾海鼠(きんこ)となりの手前(てまへ)も恥(はづ)かし |
| ぷんぷん香(にほ)ふた腐(くさ)つた魚(うを)の | 腐(くさ)つた鯉(こひ)に鼻(はな)ぴこつかせて |
| 春日(かすが)の狐(きつね)、油揚(あぶらげ)さらへた鷹住別(たかすみわけ)の | やつれた姿(すがた)のかます面(づら) |
| 鯉(こひ)に上下(じやうげ)の隔(へだ)てはないと | エラソにエラソに小塩鯛(こしほだひ)いふ故(ゆゑ)に |
| このしろものは六ケ敷(むつかしき)と神々(かみがみ)にいやがられ | こちからより付(つ)かぬが鰆(さはら)ぬ神(かみ)に |
| 祟(たた)りなしと逃腰(にげごし)さごしに | 平家蟹(へいけがに)見(み)たよな鱚(きす)ごい顔付(かほつき) |
| 烏賊(いか)にさごしが鯖(さば)けてゐたとて | ごまめの仕打(しう)ちがこのしろないゆゑ |
| 鯉(こひ)ことばも言(い)はねばならない | さすれば栄螺(さざえ)に散子(はららご)太刀魚(たちうを) |
| 春日(かすが)は刺身(さしみ)よ鷹住(たかすみ)は好(す)き身(み)よ | 祝部神(はふりべのかみ)が今(いま)かます |
| 鼬(いたち)の最後屁(さいごぺ)くらつて見(み)よ | 臭(くさ)いくさいと夕月夜(ゆふづきよ) |
| 月夜(つきよ)を呪(のろ)ふ恋仲(こひなか)の | 臭(くさ)い仲(なか)ではなかつたか |
| あゝ邪魔(じやま)くさい邪魔(じやま)くさい | 四十九才(しじふくさい)の尻(けつ)の穴(あな)』 |